2006年4月27日更新

麒麟町ぼうえいぐみ(上)発売記念
「麒麟町ぼうえいぐみ(上)」各話解説ページ

(注:このページの内容には「麒麟町ぼうえいぐみ第0話(予告編)〜16話」までのネタバレ内容を多分に含んでいます。まだ16話までの漫画内容を未読の方はご注意ください)


と、いうワケで!せっかくの単行本発売記念なのでこんな解説ページを作ってみたりしました〜。
読んでもあんまり人生における得はない駄文の羅列ばっかりですが、お暇な方は単行本片手に是非どうぞ〜。



〜第0話〜

この「第0話」はぼうえいぐみの連載開始直前に「マジキューvol7」に掲載された「予告編」を、単行本収録の際にあたって新たに描き直したものです。
何故わざわざそんな手のかかる事をしたのかというと、当時の予告編の原稿が今見るとあまりにもあんまりな出来だったので(それでも当時は全力で描いたものだったのですが…)、
「いくらなんでも単行本を開いて最初の1ページ目がこれでは、読む方もちょっとゲンナリするだろうなぁ…」と思い、
「せめて巻頭部分だけでも今持てる最高の技術で描き直したい!」という意気込みが自分の中に生まれ、この描き直しに至ったわけであります。
当時の予告編が掲載されたマジキューが手元にある方は見比べてみると、内容はほとんど同じなのに絵が全然違ってて面白いかも?


〜第1話〜

色々と自分の未熟さをを思い知らされた第1話。
自分は今までアクション漫画自体は趣味でノートなんかに沢山描いてきてはいたのですが、
いわゆるペンを入れてトーンを貼った「アクション漫画の完成原稿」を作った事は一度も無かったので、

いざ仕上げようとすると、「シーンの迫力を殺さずにラフを完成原稿にする事」がこんなにも難しいものだったのか…!ということを痛いほど思い知らされました。
それと、これは1話に限らず今後もしばらくは悩ませつづけられる問題だったのですが、
「アクションシーンをきっちり描くには、ページ数が8ページでは圧倒的に少なすぎた」という事。

特に第1話では「この1回でキャラ紹介〜バトルを一通り完結させなければいけない」という命題があったので
(マジキューは月刊誌なので、第1回でぼうえいぐみの最低限の要素を全て出し切れないと非常に苦しいのです)

アクションシーンは本当にいっぱいいっぱいな感じになってしまいました。本当はもっと敵の巨大感をいかした立ち回りとかも描きたかったんですけどね〜。
ちなみに本編中には出てきませんが、今回の敵ロボットの名前は「ネコ・グレート」といいます。うーん、安直!


〜第2話〜

「連載第2回目でいきなり敵に負けて捕まってしまう主人公」というのも、今思えば少々珍しい気もします(笑)。
ちなみに、この第2話がマジキューに掲載された当時、ちょうど現実でも悪質な女子小学生暴行誘拐事件が発生していて、
マジキュー読者の皆様に「不謹慎だぞこの糞ロリコン作家!!!!」とか怒られやしないかと少々ビクビクしていたのはヒミツです。
描いてるときはまさかそんな事件がタイムリーに発生してしまうとは思ってもいなかったので…。
ちなみに、今回の敵の名前は「ネコ・スピード」。相変わらず安直でスミマセン。


〜第3話〜

ことらちゃん初変身の回。
いやあ〜、ヒーローものの「無駄にカッコイイ名乗りセリフ」とかを考えている人は本当に偉大ですね!
いざ自分で決めセリフを考えてみて、改めて感心させられました(笑)。
ちなみに、毎回の敵ロボットの最後の大爆発は、「ともみちゃんがロボットの中に演出用の「爆発用火薬」を大量に仕込んでいるため」というのが理由らしいです。


〜第4話〜

龍美ちゃん最大の特徴である「女子小学生離れしたヒーロースピリッツ」を全面に押し出した回。
彼女のヒーロースピリッツは物語後半〜最終回にかけて、物語とまわりのキャラクター達を引っ張っていく非常に重要な要素になります。
やっぱり少年漫画の主人公はこうじゃないと!!……え、少年漫画じゃない…?

この回でわかった事

●龍美ちゃんはスーツの力を借りる事で、時速150キロで飛んでくる球を3発まで打ち落とす事が出来る。
●ぼうえいぐみのスーツは軽トラの体当たりには耐えられない
●龍美ちゃんは可愛いものが好き


〜第5話〜

鈴ちゃん初登場の回。
可愛いモノに目が無い龍美ちゃんは、初対面の彼女にもいきなり声をかけちゃってます(笑)。
まさに天然のフラガー(フラグ立ての名人)!このあたりも非常に少年漫画の主人公っぽくてステキですね。(だから違うって)
このあたりからちょっとずつ今後の伏線も張られたり張られなかったり。
ちなみに、今回登場の敵の名前は「ネコ・ウイング」です。


〜第6話〜

気づく方は気づかれたとは思いますが、この第6話、他の回よりトーンの品質が若干粗くなってしまっています。
実は、この回ではパソコンでトーンの作業をする際、誤って原稿サイズを一回り小さく設定してしまっていたので、
最終的に「掲載時に無理やり原稿を引き伸ばす」というわりと無茶な力技を敢行してしまったため、このような若干粗い原稿になってしまったのです。

単行本収録の際にいざ修正しようにも、そのためにはトーンや背景を完全に一からやり直さなければいけなくなってしまうので、流石に手がつけられませんでした。うう、申し訳ない。


〜第7話〜

この回からペン入れが完全デジタル方式になり、全体的に線がとってもキレイになっております。
作業中の拡大縮小も自由自在なので、ミリペンでは少々無理があった小さいコマ内の描き込みも容易に!うーん、デジタル万歳!!
それと、この回では武美ちゃんのお母さんが初登場。上巻ではこれ以降彼女の出番はありませんが、下巻では非常に重要な役回りで再登場します。お楽しみに〜。
あと、仮面ドライバーの元ネタはモチロン言うまでも無く、黒いボディで真っ赤な目のあのお方です。あの主題歌はガチで名曲!


〜第8話〜

女の子なのにタケちゃんってあだ名だったらちょっと嫌だろうなあ、と思ったんでことらちゃんにそう呼ばせる事にしました(笑)。
このあたりから謎の部分や物語後半への伏線等も色々と提示されていきます。全ての謎の真相は下巻にて!?
…実は、自分の漫画の中で「ちゃんとした伏線」をはるというのは初めての経験なので、自分でも内心ちょっとドキドキなのはヒミツですヨ。



〜第9話〜

8ページほぼ全てがアクションシーンな上、セリフの量も少なめのこの第9話。
マジキュー掲載時は一瞬で読み終わっちゃう内容だったので、当時は少々あせりました(笑)。
この辺りから今後も8ページで続けていく事に限界を感じはじめ、マジキュー側と増ページの交渉を開始。

ちなみに、この回のアクションシーンは自分では結構お気に入りだったりします。


〜第10話〜

あっという間に読み終わっちゃう回後編(笑)。
武美ちゃんのアクションは基本的に全て「カウンターからの連続攻撃」になるように心がけて描いています。
尺の都合で最後の龍美ちゃんVS武美ちゃんのシーンをカットしなければならなかったのが少々心残りですが、
案外このカット版の方が漫画としてのテンポはよくて読みやすいのかも知れませんね。
それにしても武美ちゃんは強い、強すぎる。
おそらく自分が今まで生み出してきたキャラクターの中では、ぶっちぎりで強い存在なのではないかと思われます。


〜第11話〜

強化合宿編前編。
この強化合宿編は、前2回の模擬戦闘編に反して非常にセリフ等が多く、8ページのわりにはなかなか読み応えのある内容に。
どうでもいいけど、ポワトリンとかみたいな不思議少女コメディものの特撮って、今後はもうやらないのかなぁ。


〜第12話〜

強化合宿編中編。
武美ちゃんの可愛い一面が結構色々垣間見られる貴重かつ重要な回です。
そして、なんといっても特筆すべき点は、珍しくサービスシーン的な内容が漫画内に盛り込まれているという事(笑)!
掲載誌は一応今をときめく萌え雑誌だというのに、サービスシーンが珍しい存在とはこれいかに!?
…いや、いつも誌面の空気を読めない漫画ばっかり描いちゃってて、ホントすみません、マジキューさん…。

あと、この回には地味に超星神シリーズのネタをセリフに仕込んだりもしたんですが、
果たしてマジキュー読者の方々の中で、これが超星神ネタだと気づいた方は何人いたのでしょうか…(笑)。

下手をすると冗談抜きで一人もいなそうな予感。


〜第13話〜

龍美ちゃんは本当に天然のフラガーですね!恐ろしい子…!
そして、いよいよこの物語における「真の敵」が登場。セリフのフォントがいかにも悪そうでいい感じです(笑)。


〜第14話〜

この回から連載ページ数が16ページに増えました。
16ページあると「ちゃんとアクションシーンでキャラ同士の攻防」が描ける事に、当時非常に感動した覚えが…(笑)。
戦闘シーンも今までの「安全が保障された戦い」から「命の危険がある戦い」へとかわり、緊張感もぐっと増したのではないかと個人的には思いますが、いかがなもんでしょうか。


〜第15話〜

武美ちゃんまさかの敗北。
実はこの回を描いた後、武美ちゃんがやられたショックでしばらく精神的に落ち込んだりもしました。
この敗北イベント自体は武美ちゃんというキャラクターを作った時点で既に決まっていたので(あまりにも強すぎて、そのまま健在だと漫画内のパワーバランスを崩してしまうので)、
まあ心の準備もできているし多分大丈夫だろうとは思っていたのですが、まさかこんなに凹む事になるとは…、自分でも正直意外でした。

ストーリーの盛り上げのために思い入れのあるレギュラーキャラを劇中で殺したり出来る作家さんは、ある意味本当に凄いと思います。尊敬。

ちなみに、当初の予定では武美ちゃんは奇襲による敗北ではなく、ミシロとアカハの二人に敗北してしまう予定だったのですが、なんか気が付いたら武美ちゃんが勝っちゃってました(笑)。
これがよく言う「キャラクターが勝手に動き出し、ストーリーを変えてしまう」という現象なのですね。感動。


〜第16話〜

ここに来てようやく、溜めに溜めたともみちゃんの見せ場がやってきます!いやぁ〜、この展開はオイシイですね!
この「絶体絶命のピンチに、ともみちゃんが過去最強のロボットを引き連れて助けにきてくれる」というシーンは、
ストーリーの全体的な構成が固まった一年以上前から早く描きたくて描きたくてウズウズしていたシーンだったので、描いていてとっても楽しかったです(笑)。
ちなみに、当初の予定はネコ・パーフェクトのデザインは今までの「ネコ・シリーズ」と同系統の、もっとメカメカしいデザインだったのですが、
「どうせならここまであの系統のデザインで引っ張っておいて、最後に女の子型になったらもっとオイシイかも…?」などと思い立ち、最終的にこのようなデザインとなったのであります。
結果として、描くの側もテンションも更に大きくあがったり(やっぱり女の子型の方が描いていて楽しいのですw)、
マジキューの読者コーナー宛にネコ・パーフェクトのイラストを描いて送ってくれる(!)大変ありがたい読者の方が生まれてくれたりと、色々良いこと尽くめな感じでした。わーい。
ちなみに、ネコ・パーフェクトに搭載されているAIは、今までの「ネコ・シリーズ」の記憶を引き継いだ従来型の面々と同様のAIとなっております(笑)。



…てな感じで、「麒麟町ぼうえいぐみ(上)」いかがでしたでしょうか?
もし楽しんでいただけたという方は、 掲示板等で感想やらなにやらいただけると非常に嬉しいですよ〜。

ちなみに、下巻は早ければ今年の10〜11月頃になるのではないかと思われます。
マジキューでの連載の方は、ちゃんと無事プロット通りに内容を収めきれれば8月25日発売号の「マジキューvoi30」にてひとまずの最終回を迎える予定です(場合によっては後ろにずれる可能性アリ)。
ちゃんと原稿を落としたりせずに順調にいければ、vol27からは4ページ増の20ページ、それ以降も状況次第でページ数を増やしていただける予定ですので、お楽しみに〜!


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